御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
というわけで、早穂子はとりあえずひとりでお湯につかった。
内湯とは言ったが、しっかりとした露天風呂だ。
お湯はぬめりがあり、浸かっているだけで肌の上はつるつると滑らかになっていく。
「さすが美肌の湯……」
そこでほーっと息を吐いたところで、
「ねえ、お湯はどんな感じ?」
自分が想像しているよりもずっと近い距離で、始の声がした。
「はいっ?」
驚いて振り返ると、脱衣所のドアの隙間から、カットソーを脱いで上半身裸の始が立っていた。
「ええっ!?」
(私、ひとりで入っていいって譲ってもらったはずだよね!?)
呆然としている早穂子をよそに、着ているものを優雅に脱いでいく始に抗議の声を上げる。
「あ、あの! お約束が違うのでは!?」
「譲ってあげようと思ったけど、やっぱり我慢ができなくなった。ごめんね」
(はぁぁ~~!?)