御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
始にしてみれば、自分など赤子の手をひねるよりも簡単に違いない。
「……バカにしてますよね?」
「してないよ。好きだよ、そういうところ……可愛いって思う」
始は目を細めてにっこりと笑った。
その笑顔は本当にきれいで、まぶしくて……。
ああ、この人は本当に卑屈なところなどいっさいない、愛されて育った人なんだとわかったような気がした。
(全然勝てる気がしない……)
それから始は、髪を濡れないようにアップにした早穂子の首筋を指の背で撫でた。
「首、きれいだね。ここの骨が出るの、すごく色っぽくて、そそられる……」
始の指が、早穂子の首の後ろをなぞっていく。
(きれいとか、可愛いとか、好きとか……簡単に言っちゃうんだな、この人は)
早穂子はハァとため息をつきつつも、隣の始を見上げた。