御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「でも、お世辞もほどほどにしたほうがいいと思います……」
そうでなければ、きっと自分は本気にしてしまう。
ブレーキが掛けられなくなってしまう。
「お世辞じゃないよ。本気でそう思ってる」
始はどこかフワフワとした調子で、じっと早穂子を見つめた。
「俺、言ったでしょ。夢で終わりにする気はないって」
そして、始は早穂子の顔に唇を近づけ、頬に音を立ててキスをした。
それから何度も……何度も、繰り返し。
露天風呂の周りは涼し気なほっそりとした木々が生い茂っている。
離れでもあるし、外から見えることも、声が聞こえることもないだろう。
気が付けば、裸のまま向かい合うように抱き合っていた。
始の首の後ろに手を回す。
引き締まっていながら分厚い筋肉は、見せかけのものではない。
本物の、自分とは全く違う、男の体だった。