御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「ニューヨークかぁ……」
久しぶりに基の顔も見たい。
行ってみてもいいなと思っているところで、
「来週はハーグです」
と言われて、がっくりと脱力してしまった。
さすがに現状、オランダのハーグに予定を合わせるのは難しそうだ。
「そっか。なかなか忙しいんだな……」
始はそれから足を組みなおし、ソファーの肘置きに頬杖をついた。
基という男は本人自身がエネルギーの塊のような強い人間なので、会うとこちらまで元気をもらえるような気がするのだ。
だから会って話でもしたいと思ったのだが、ニューヨークからハーグに移動すると言われれば、諦めるしかない。
「――じゃあ、あとは始さん作成のスケジュールで進めておきますからね」
「ああ、ありがとう。助かるよ」
「すでに決まっているものを予定通りマルチタスクで動かすっていうのは、俺の得意分野なので」
湊はふっと笑って、ソファーから立ち上がった。