御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「しいたけ、しめじ、鶏肉……」
「きゃっ!」
至近距離から聴こえた始の声に、早穂子が驚いてビクッと体を震わせた。
そして顔を赤くして肩越しに振り返る。
「なにを見てるんですか?」
「きみを見てる」
「やめてください。手元が狂いますから」
早穂子は少し怒ったようにそう口にすると、刻んだそれらを炊飯器のお米の上に乗せて、合わせた調味料をざーっと流し込んだ。
「これと、今朝作った赤だしのお味噌汁と……あと、保存してた粕漬のお魚を焼きますので」
そして早穂子は冷凍庫から保存用袋に入った魚をキッチンの上に置いて、野菜の切りくずを片付け、手を洗った。
「すっごい豪華だな~」
「そう、ですか?」
早穂子が少し照れたようにうつむく。
「早炊きなので、三十分くらいで炊けます。少しお待たせしますが、ごめんなさい……」
「ううん、いいよ。じゃあ少しイチャイチャしようか」
「――はいっ!?」