御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
早穂子の目がまん丸になる。
(あ、驚いてる……)
こうするたびに、まるで子猫を驚かせているようなそんな気分になるのは、少し自分にエスっ気があるからだろうか。
始はクスッと笑いながら、エプロン姿の早穂子を抱き寄せた。
ダイニングキッチンの奥に早穂子の寝室がある。
彼女をそこにうつぶせに押し倒し、始はエプロンのリボンをほどいて、するりと床に落とした。
「あっ、あの……っ」
「ん?」
のしかかるように、後から早穂子を抱きしめつつ、首筋にキスをすると、早穂子が濡れた目で振り返った。
薄明りの中でキラキラと輝く早穂子の目に、始はふと我に返る。
「もしかして、嫌だった?」
正直言って、タクシーに乗ってここまでくる間ずっと早穂子を抱きたいと思っていたし、行儀よくご飯を食べてそのあとでなんて、とても待てそうになかったのだが、嫌がる早穂子を無理に抱く気はない。
体を起こして、早穂子を見下ろすと、彼女も上半身を起こし、向かい合った。
「――私……」
「うん、なあに? 思うことがあったら、正直に言って」
すると早穂子は視線をさまよわせた後、顔を上げて、始の目をまっすぐに見つめる。