御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「ちょっと聞きたいことがあって」
「うん……」
「あの、最初の夜、ウィンウィンの関係だって言ってたのは……」
「ああ……」
確かに不眠症の早穂子がぐっすり眠れて、不感症の自分がセックスを楽しめたのは、双方にとっていいことだと始は思ったのだった。
「誰にも言わないでくれる?」
「とっ、当然です! こんなプライベートなこと、誰にも言えません」
早穂子は真面目な顔をして、うなずいた。
「実はね、俺、不感症なんだ」
自分でも驚くほどするりと、本当のことを口にしていた。
「ーーえっ?」
「いや、わかる。あんだけきみにエロいことやりまくっておいて不感症って……って信じられないよね」
ホテルでも、嬉野の温泉でも、始は早穂子を夢中で抱いたし、自分で言うのもなんだが、少々がっつきすぎたと思わないでもないのだ。
「驚きました……」
子猫のように目を丸くする早穂子に、始は首を横に振った。
「まぁ、不感症っていうのにもいろいろあるんだけどね。俺の場合、一応体の反射で立つことは立つけど全然気持ちいいって感覚がないってこと」
「感覚……」
「でも、きみとするのは気持ちいい。怖いくらい、すげー……気持ちいい」
早穂子の頬に手のひらを乗せる。
「きみの唇、肌、指、ふれるだけでゾクゾクする……」
指を早穂子の唇の上に置く。
「あーん、して……。俺の指、アレだと思って、舐めて」
止められない。