御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「きみは俺に強引に口説かれて、こうなったんだ。だから罪悪感を持つ必要なんてない。そもそも俺のことを好きでもなんでもないと思うけど、別に構わない」
滑らかな背中に手のひらを這わせて、そのまま腰をつかむ。
「ほら、恋愛は成就するまでが楽しいって、言うでしょ? だから恋をしているときみたいに、俺と過ごすこの時間を楽しんでくれたらいい。そうしたら俺だって嬉しいし……」
「んっ……」
体の奥に分け入ってくる始に、早穂子がびくんと肩を震わせた。
始がゆっくりと動き始めたのに合わせて、のけぞる首筋に、始は歯を立てる。
(楽しめばいい……そういえば、俺の口癖だな……)
ずっとまともに人を愛せなかったから、期待に応えられないから、せめて楽しんでもらえたらいいと思っていた。
(せめて、俺みたいなくだらない男に深入りして、傷つかなくていいようにしてあげたい……)
早穂子はとても可愛い女性だ。それにいい子だ。
わかっているから、一方的かもしれないけれど、彼女が去るまでの間は、精いっぱい大事にしようと思う。