御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
してやったりと顔に書いてある。
「驚いた?」
「――驚きました」
(そうか、そういえばこの人は私を驚かせるのが得意だった……)
それにしてもなんだかくすぐったい。
早穂子は身じろぎして、シーツに半分、顔をうずめる。
「えっ、なんで顔隠すの……ハジメちゃんにはつきあってらんないわってこと?」
(ハジメちゃん……?)
「あ、俺のことはハジメちゃんって呼んでくれたら嬉しいな。親しい人たちはみんなそう呼ぶし」
始は背後で体を起こし、早穂子の裸の肩に乗った髪をかきわけて、顔を覗き込んできた。
「いや、無理です……」
「いけずだ」
「いけずじゃないです」
弊社副社長をちゃんづけで呼ぶなんて、恐ろしすぎる。
そんな言葉に慣れてしまったら、いつぽろりと外で口走って、ボロを出すかわからない。
「でもプライベートで副社長って呼ばれるのはちょっと……」
「そうですよね……じゃあ山邑さんで」
「いやいや……」