御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「あんまり俺をいじめないでよ」
始はクスクスと笑いながら、両腕でグイッと早穂子の上半身を起こして、後から抱きしめてきた。
「ね、サホちゃん」
「もう……」
早穂子はため息をつきながらも、笑うしかない。
(この人には本当に勝てる気がしない……)
いや、考えてみれば、最初から勝とうなんて一度も思っていなかった。
ただ貴重な宝石のようなこの人に触れてみたくて、その輝きを近くで見つめたい……。
そんな憧れが募った結果だった。
(だったらもう、仕方ない……)
背中にぴったりとくっついた始のぬくもりや、頬に触れる吐息に胸が詰まりながら、精いっぱいの笑顔を浮かべて振り返る。
「じゃあ、始さん、ごはんにしましょうか」
「おお……“始さん”だって……」