御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「サイズ、ぴったりみたいでよかったです」
実際、グレーのパンツにTシャツというなんでもない格好なのに、とても見栄えがする。
着やせするタイプだと思っていたが、背が高く胸板が厚いので、やはり何を着ても似合うのだろう。
「おっ?」
始が早穂子の視線に気が付いて、ちょっとおどけたように腰に手を当ててポーズをとった。
ふざけていても絵になるが、いちいち見惚れていては手が止まってしまう。
「いや、そういうサービスはいいです」
「えーっ、つれないなぁ……」
始は笑ってタオルを首にかけると、そのままコンロの前に立つ早穂子の隣に立った。
「俺、お腹と背中がくっつきそうなんだけど」
ちょっと情けない口調で言われたが、もう気が付けば夜の十時を過ぎている。
「もう遅いですし、軽くごはんと、お味噌汁だけにしておきましょうね。お魚は明日の朝に……」
言いかけて、ふと顔をあげる。
するとじっと自分を見つめている始と目があった。