御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
もちろんソレが嫌というわけではない。
始のサービス精神なんだろうと、受け入れるだけだ。
(でも、複雑……)
早穂子がはぁ、とためいきをつくと、始は笑いながらそのまま早穂子の上半身を抱きしめたのだった。
「だって、サホちゃんあんまりそういうの表に出さないから、つい」
「ついって……」
「なんていうか、いろいろ新鮮なんだよ」
そして始は指で早穂子の髪をすきながら、ささやく。
「もっとわがまま言ってよ」
「そういわれても……思いつきません」
本当にそうなのだ。
始はやることなすことスマートで、早穂子を喜ばせたり驚かせたり、蕩けさせる天才だ。
不満など何一つ思いつかない。
あえて言うなら、もう少し自分のことを突き放してほしいくらいだ。
「俺ばっかりワガママ言ってるし~」
「そんなことないですよ」