御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「なにがです?」
早穂子が首をひねるとほぼ同時に、
「俺と一緒に徳島の鳴門に行こう!」
「きゃあっ!」
いきなりベッドに押し倒されてしまった。
(なに、徳島? 鳴門……? って、あっ!)
早穂子はハッとしたようにニコニコと上機嫌の始を見上げる。
「鳴門……って、山邑リゾートです?」
「ご名答。正解者にはキスをしてあげよう」
始が笑いながら、ちゅっと早穂子の唇の上にキスを落とす。
突然のかわいらしいキスに戸惑いながら、早穂子は頭の中で鳴門のことを考えていた。
鳴門市は人口六万人以下の静かな町ではるが、明石海峡大橋ができて、神戸からは一時間もかからずに行くことができる。
関西からの客をターゲットとして、リゾート観光地としての需要が見込めるということで開発が進み、去年の夏には、新館のコテージが完成していた。
早穂子は総務の事務員だが、そのくらいの知識は当然持っていた。