御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

「なにがです?」


早穂子が首をひねるとほぼ同時に、

「俺と一緒に徳島の鳴門に行こう!」
「きゃあっ!」

いきなりベッドに押し倒されてしまった。


(なに、徳島? 鳴門……? って、あっ!)


早穂子はハッとしたようにニコニコと上機嫌の始を見上げる。


「鳴門……って、山邑リゾートです?」
「ご名答。正解者にはキスをしてあげよう」


始が笑いながら、ちゅっと早穂子の唇の上にキスを落とす。


突然のかわいらしいキスに戸惑いながら、早穂子は頭の中で鳴門のことを考えていた。


鳴門市は人口六万人以下の静かな町ではるが、明石海峡大橋ができて、神戸からは一時間もかからずに行くことができる。

関西からの客をターゲットとして、リゾート観光地としての需要が見込めるということで開発が進み、去年の夏には、新館のコテージが完成していた。

早穂子は総務の事務員だが、そのくらいの知識は当然持っていた。

< 83 / 276 >

この作品をシェア

pagetop