御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「だけど仕事じゃないよ。俺の友人知人が集まる【バッカスの会】っていうのがあるんだ。その集まりに君を連れて行きたい」
「バッカスの会……」
バッカスは言わずと知れたローマ神話の酒の神様だ。
「なんとなくすごそうな会ですね……」
(いったいどんな人が集まるんだろう……)
早穂子の脳内では、王侯貴族のパーティーしか思いつかない。
「まぁね」
始はにやっと笑って、そのまま顔を近づけささやいた。
「ね、行こう」
大事な休日に自分を誘ってくれる、始の気持ちは嬉しいが、
(友人知人が集まる会に、私が行っていいんだろうか……?)
早穂子はそんなことをつい考えてしまった。
「――気が進まない?」
始は黙り込んだ早穂子に問いかける。