御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
彼との旅行

そして迎えたGW。

一時間半の空の旅を終えて、早穂子は始と一緒に徳島空港に到着していた。

ふたりの荷物は出発前に山邑リゾートに配送しているので、手ぶらで入り口を出る。

空港は風も日差しも強かったので、風にあおられる髪を押さえながら、早穂子は目を細めて空を見上げた。


「いいお天気でよかったですね」
「だねぇ~!」


始はうーんと背伸びをしたあと、早穂子を振り返った。


「あー、いいね。やっぱり。きみはそういう格好が似あう」
「それは……ありがとうございます」


今日の始は麻のジャケットにカットソー、そしてデニムというカジュアルな装いで、早穂子も白いシャツのそでをまくり、デニムのミニスカートをあわせ、そしてスニーカーというラフな姿である。

本当はもう少し女らしい可愛い恰好をしたいと思っていたのだが、始が出発前の電話で「白いシャツ着てきて。あとデニム」とおねだりされて、着ることにしたのだった。


「きみを抱きしめてキスしたいな。だめ?」


甘やかな瞳に光をたたえた、始がささやく。

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