私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
おかしいな。
何故、こんなことに、と茅野は思っていた。
穂積と二人で食事に行くはずが、結局、全員で来てしまっている。
店に確認したら、個室だし、人数が増えても大丈夫だと言われて、このようなことに。
しかも、茅野は、穂積と席が離れてしまっていた。
隣は玲。
正面は秀行。
斜め前という見づらい位置が穂積で、穂積の横のお誕生日席が、何故か奈良坂だった。
でもまあ、と茅野は思う。
二人でなかったのは、ちょっと残念ですが。
久しぶりに皆さんとお食事というのもちょっと楽しいかも、と思っていた。
酒も入り、かなり騒がしくなってきた。
暑いなーと思い、茅野は席を立つ。
個室から、専用のバルコニーに出られるようになっていたからだ。
それにしても、なんだかわからないが、話が盛り上がっている……、と思いながら、後ろを振り返る。
穂積と秀行は大学の話から、仕事の話にスライドしながら、揉めつつも、ずっと二人で話している。
捨て置かれて、寂しいんですけど~、と思いながら、茅野は外に出た。