私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
食事を終え、外に出た茅野たちは、酔いを覚ますように、タクシーの居る駅まで、なんとなくみんなで歩いた。
奈良坂と秀行が揉めながら、前を歩いていて。
時折、後ろを振り返りながら、玲が真ん中に。
そして、一番後ろを茅野は穂積が歩いていた。
図書館での話をしていると、急に茅野の携帯が鳴り出す。
「あれっ? お母さん?」
と着信表示を見て言った茅野がそれに出ようとすると、何故か歩みを止めていたらしい秀行が、茅野の手からそれを取る。
「あ、お義母さんですか?
秀行です。
いえ、古島たちも一緒です。
はい。
久しぶりにみんなで呑もうかと」
何故、貴方が出ますかーっ! と茅野は心の中で叫んだが、秀行は、かつて婿だった頃と変わらないように、姑と談笑している。
「そうなんですよ。
それで、みんなで今から駅に。
はい。
はい。
そうですね。
ですから、今夜、茅野が家に帰らなくてもうるさいこと言わないでくださいよ」
え? と秀行を見上げる。