私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
「はい。
 ……すみません」

 なにがすみませんっ!?
と思いながら、少し背伸びをしたりしながら、話の内容を聞き取ろうとしていると、そんな茅野の額に手をやり、穂積が押し返す。

 そして、反対側を向いて、穂積は言った。

「あの――

 お嬢さんをください」

 えーっ?
 今ーっ!?

 今ですかっ?

 此処でですかっ?

 っていうか、せめて、私を見てくださいーっ!
と茅野は心の中で絶叫する。

 私、確かまだちゃんとプロポーズされてないんですけどっ。

 携帯を切ったあと、穂積はどっと疲れた顔をしていて、まだ明るい夜の街で放心状態だった。

「ひっ、秀行さんーっ」
と前を歩き、玲と話している秀行に怒鳴ると、振り返り、

「なんだ。
 お前らがはっきりしないからだろ」
と言ってくる。
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