私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
「いつまでぐずぐず言ってるつもりだ。
 くっつくのなら、さっさとくっつけ。

 なに俺に遠慮してんだ、穂積」

 秀行さん……。

 出会ってから、四年。

 私に見えていなかっただけで、実はいい人だったのでしょうか、と感動しかけたとき、秀行は言った。

「いつまでも想いが叶わないと、想いがつのって、相手をより好きだと錯覚するだろ」

 そこで、穂積を見、
「茅野がお前に夢中になったらどうしてくれる」
と言い出した。

 えーと……。

「穂積、お前も罵られながら、茅野に手を出して、俺と対等なところまで落ちてこい」

 いや……貴方のときとは全然状況が違うと思うんですが、と思う茅野の前で、秀行は、あの邪悪な笑みを浮かべる。

「明日から、俺は、穂積を褒めちぎるからな。
 そしたら、人間、いや、この人、そんなにたいしたもんじゃないわ、と思うものなんだ」

 貴方、仕事以外でも狡猾ですね……と茅野は冷静に思っていたのだが、穂積は、秀行を見つめ、

「……茂野。
 いや、秀行」
と言い出した。

 秀行!?
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