私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
今日、プロポーズされました。
今度のプロポーズは嬉しいはずだったのに。
なんだろう……。
愛が深まったというより、秀行さんの株が上がって、二人の友情が深まって――。
秀行さんのうちの親からの信頼度も上がって。
きっと正月にもうちに居ます……。
ぼんやりそんなことを考えながら、機械的に歩いていたのだが、いつの間にか、手が温かくなっていた。
下を見ると、自分の手が穂積の手に包まれていた。
穂積を見上げたが、彼は目も合わさず、前を見て、一心不乱に歩いている。
いつも通りの穂積に、なんだか笑ってしまった。
やっぱり、秀行さんがなにか言ってくれなかったら、この人はなかなか言い出せなかったかもしれないな、と思う。
やさしい人だし、秀行さんにも遠慮して。
感謝……
すべきなのでしょうかね?
と秀行たちを目で探したが、いつの間にか居なくなっていた。