私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
次の日の図書館帰り、茅野はあの店に寄ってみた。
リサイクルショップのような外観で、看板に大きく『防犯』と書いてあるのが、余計怪しげな雰囲気を醸し出している。
「あれっ?
茅野さん、いらっしゃい」
笑顔で迎えてくれる店員さんの髪はいつものように逆立っていて、いつものように革のベストにドリルのようなものが付いていた。
「何故でしょう。
そういう格好してらっしゃる方がほっとします」
と言うと、店員さんは、少し目を伏せ、
「……ありがとうございます。
嬉しいです」
と言った。
少し微笑んでいるようにも見えた。
「割引券あげたから、来てくれたんですか?
相変わらず、素直な人ですね」
と笑ったあとで、
「そうそう。
茅野さんに、いい商品入ってますよ。
軽くて女性が持ちやすい――」
と彼が、振ると伸びる警棒のようなものを手にしたとき、
「ほう。
なかなか扱いやすそうだな」
という声がいきなり背後でして、茅野は、ひっ、と身をすくめる。