私、今から詐欺師になります ~番外編、その後~
 秀行が立っていた。

 ど、どうして此処に……と思っていると、
「まだ買ってんのか」
と言ったあとで、店員の手から警棒を取り、振ってみている。

「古島にも使ってんのか」

 そんな莫迦な……。

「ほんとに防犯用ですよ」
と答える。

 いや、以前も、ある意味、防犯用だったのだが、と危険なかつての夫を見る。

 秀行は、店内を見回し、
「ほう。
 なかなかいいものが揃ってるな」
と言っていた。

 思わず、秀行の目線を追う。

 ロープ……手錠……、スタンガン……。

 あ、貴方は買わないでください、と思っていた。

 秀行の目つきを見ていた店員が、この人には売らない方が良さそうだ、という顔をしている。

「銃とかあるのか?」
と秀行が店員に聞く。
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