秘密の陰陽師 【肆】上




俺たちの間に嫌な空気が流れる




「葵に何かあったのかもしれない。
全員で探すぞ」




俺がそう言うと一斉に音楽室を出て皆で探し始めた




葵…どこにいるんだよ…




頼むから俺の前からいなくならないでくれよ




頼むよ…




化学室に家庭科室、色んな場所を見回ったけど葵の姿はなかった




俺は次に葵の教室に向かった




葵の教室、2年5組に入った時に俺は足を止めた




匂いがする




葵の…甘い、匂いだ…




一気に緊張感が高まる




一歩、また一歩と教室の中に足を踏み入れる




教卓の前を過ぎる時、窓側の床から細くて白い足が見えた




足だけで…誰が倒れているのか分かった




「あおい!!!!!」




俺は一目散に葵に駆け寄った




葵はぐったりと倒れていた




俺は葵の上半身を起こして抱きかかえて葵の腕に指を当てた




ドク…ドク…そんな音が聞こえて俺は心の底から安心した



< 121 / 226 >

この作品をシェア

pagetop