秘密の陰陽師 【肆】上
俺たちの間に嫌な空気が流れる
「葵に何かあったのかもしれない。
全員で探すぞ」
俺がそう言うと一斉に音楽室を出て皆で探し始めた
葵…どこにいるんだよ…
頼むから俺の前からいなくならないでくれよ
頼むよ…
化学室に家庭科室、色んな場所を見回ったけど葵の姿はなかった
俺は次に葵の教室に向かった
葵の教室、2年5組に入った時に俺は足を止めた
匂いがする
葵の…甘い、匂いだ…
一気に緊張感が高まる
一歩、また一歩と教室の中に足を踏み入れる
教卓の前を過ぎる時、窓側の床から細くて白い足が見えた
足だけで…誰が倒れているのか分かった
「あおい!!!!!」
俺は一目散に葵に駆け寄った
葵はぐったりと倒れていた
俺は葵の上半身を起こして抱きかかえて葵の腕に指を当てた
ドク…ドク…そんな音が聞こえて俺は心の底から安心した