秘密の陰陽師 【肆】上
「雷蔵震凛落雷、急急如律令!」
私は軽い雷を起こす術を唱えた
はずなのに
ビリビリビリバリバリバリ─────
耳を塞ぐほど大きな雷の音がなる。
私から発された雷はいつもの数百倍の威力を持ち、目の前の妖たちへと当たってしまった
「「「「ぐあああああああああああ」」」」
私の術を受けてしまった約500の妖たちはみるみるうちに消滅してしまった。
つまりは死んだ…ってこと
妖たちに当たった雷はまだ威力を持ち続け中庭に咲いている花を全て枯らし、大木を一瞬で焼け落とした。
その場が一気に静まり返る
「え…?」
なにが起きてるの?
私はなにをしたの、、?
あれは…私の術?
あの妖たちは…私が殺したの??
どうなってるの?
印を組む手が震えだす
「あおい?」
舜が乾いた声で私を呼ぶ
「あた…し……」
脳が働かない。
今の状況が理解できない。
震える手はもう印を組めなくなっていた
足にも力が入らなくなりその場にヘナヘナと座り込む
「どうした葵!」
驚きを隠せない表情の舜が私の元へと駆けつけてくる
拓海と璃玖も走って近寄ってくる
「なに…あ…たし…なにを…した、の…?」
恐怖で言葉がうまく出てこない
わからない…自分が分からない
涙が溢れてくる
「っ…くっ…ふぇ…ごめ…な…さい…」
頭の中がぐちゃぐちゃになっている
「葵、落ち着け!」
舜が抱きしめてくれる
でも、涙は止まることなくて。
「ごめ…な…さい…ごめ…なさい…ごめ…」
私は罪のない妖たちを殺してしまった。
陰陽師として決してしてはいけないことをした。
私は…陰陽師失格だ──────
だんだん意識が遠のいていく
誰かが必死に私の名前を呼んでいる
その声に反応することもなく私は意識を手放した───────