秘密の陰陽師 【肆】上




「たくみ…」




拓海がどれだけ葵のことを大切に思っているのかが痛いほどに伝わってくる。




それは俺たちだって一緒だ。




「あおいは…俺にっ…生きる力をくれたんや…俺は絶対…葵を失いたくない」




拓海は力なく椅子に座る。




拓海の目から溢れる涙は止まらない。




「ああ…そうだよな。俺達だって葵に助けられた。葵を絶対に失いたくない。お前が必死になる気持ちも分かる。だが今の俺たちに頼れるのは柊の情報だけだ。
とりあえず聞こう、な?拓海。」




璃玖が拓海の頭をくしゃっと撫でる




涙が止まっていない拓海はコクっと頷いた




そして柊は続ける





「教室からのぞいていた人は俺らの担任。
多田一平だ。あいつ倒れた葵を見てニヤッと笑っていた。」




「多田?って確か今年から来た新人じゃないのか?」




璃玖がそう言う。




「はい…。まだ何者かはわかりません。しかし多田は間違いなく妖を見る"目"を持っています。」




なんだよそれ…




学校の関係者になんでそんなやつがいるんだ




「能力者か見鬼の持ち主って事か?」




璃玖の目が険しくなる




「いえ…まだそれも分かりません。」




1日でそんなにも沢山の情報集められる訳ないか…




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