秘密の陰陽師 【肆】上





「あお…い…」




はぁはぁと、息をするのも苦しそうな舜と目が合う




「大丈夫だ…葵のせいじゃない…」




そう言う舜はニコッと笑っていて。




どうして…笑ってるのよ…




そんなに血が出てるのに…




そんなに苦しそうにしているのに…




私が傷つけたのに…




胸を裂かれた気分だった。




気づけば病院を飛び出していて。




「あおい!!!!」




後ろで柊の声が聞こえたけど振り向くことなく走りった。




外はザーッと雨が降り続く。




どこに行くという当てもなくただ走った。




涙が溢れてくる。




ただひたすら走って気づけばどこかの森の中まで来ていた。




雨のせいで足元がぬかるんで歩きにくくなっていて、その場にしゃがみこんだ




「…っひくっ…ふ…っく…」




私何してるんだろ…




私を大切にしてくれた舜を傷つけて。




それなのにその場から逃げたりして。




もうみんなに合わす顔がない…




私、最低だ。



消えてしまいたい。




突然意識がフッと飛ぶような感覚に襲われる




抗うことなく、私のその場に倒れた。





< 193 / 226 >

この作品をシェア

pagetop