秘密の陰陽師 【肆】上




「まずわしらは君達に謝らなくてはならない事がある」




葵のおじいちゃんが俺たちを見てそう言った




「と言いますと?」




舜がそう言う。




「君達ももう気づいてると思うが、今の葵の力は陰陽師の力をはるかに超え、覚醒し始めている。

君たちは"青のガーネット"と言うものを知っているか?」




葵のおじいちゃんの言葉に心臓がドクっというのが分かった。




青のガーネットって…噂で一度聞いたことがある




それを宿したものは不死不滅の力を手にするとか…




だがそんなものは誰かが作り出した非現実の話じゃなかったのか?




「やはり…」




隣で柊がボソッと言った




「ふむ。柊君なら薄々気づいていたと思っていたよ。


話は葵が産まれた時になる。

咲良のお腹の中にいる時から強い力を持った子だと言う事は分かっていた。

だが産まれた時、わしらは信じられない光景を目にしたんだ。

葵の心臓が…青く光って産まれてきたんだよ


その心臓からは青透明の宝石が浮き出ていてな。

医者や助産師たちも大変慌てたんだ。

その時わしらにはある事が思い浮かんだ

"青のガーネット"の存在だ。

本で見たことはあったがまさかそんなものが本当にあるとは思っていなかった。

その日わしたちはガーネットの事を必死で調べまわったんだ。


するとどうだ。
1000年に1度しか産まれないやら世界を滅ぼす力を持つやら信じがたい事ばかりが書かれていた。


そんな事が世界中に知られてしまったら葵はきっと殺されてしまうか誘拐されると思った


わしらは必死で葵を守る方法を探した。

でもその数日後、安倍晴明の真実晶から青のガーネットを宿した陰陽師がどこかで産まれたという情報が世界の陰陽師組織に流れた。


それと同時に何百もの陰陽師組織が青のガーネットの捜索に当たっていると言う情報が流れてきた。


このままでは葵が見つかるのも時間の問題だった。


そんな時わしらはどんなものでも封印できると言う世界一の封印屋の新田真司(ニッタシンジ)さんの存在を知り、すがる思いでガーネットの封印を頼んだ。


そして真司さんのお陰でまだ力が弱かったガーネットの封印は成功し、年が経つにつれてガーネットのことも迷宮入りになった。


はずだったんだ。

だがこの歳になって何者かが葵の封印を解き再びガーネットを起動させた。


ガーネットを封印した真司さんも何者かに暗殺されたんじゃ…


封印を解かれたガーネットは次第に覚醒し始め、葵の意思とは別に力を発揮してしまうようになったんだ。

君達を信じていなかったわけじゃないんだ。
じゃが葵の力を見てしまったら離れてしまうのではないかと思ったこともまた事実だ。


葵は今まで血の滲むような努力をして力をつけてきた。

そのせいか笑うことも少なく友達もいなかったんだ。


でも高校に入って君達と出会って笑うことも多くなり、舜君と言うこんなによくできた彼氏を貰い、拓海君、璃玖君、柊君と言う心強い仲間できて…君達には本当に感謝しているんだ。


いつかは君達にも話すつもりだった。

だが話す前に舜君にこんな大怪我を負わせてしまった。

これは全てわしの責任だ。

本当にすまなかった」










全てを言い終えた葵のおじいちゃんは席を立ち、深々と頭を下げた





その場がシン…と静まりかえる





俺だって理解なんてできていない。




舜があの日見た青く光る心臓ってのは…この事だっんだな…。




隣に座る舜を見るとグッと拳を握りしめていた。




拓海は放心状態になっていて。




柊は全てを理解してる顔だった。




俺たちがずっと知りたかった事実がこんなにも残酷なことだったなんて。




葵は全てをしっているのだろうか?




< 197 / 226 >

この作品をシェア

pagetop