秘密の陰陽師 【肆】上
長い沈黙が流れる
「俺たち…葵のために何ができますか?」
その沈黙を破ったのは舜だった
「俺はあの小さな身体に何度も救われました
俺のモノクロの人生に沢山の色をつけてくれたのは葵なんです。
だから今の俺にできること、何でもいいんです。何かありませんか?」
そう言った舜の目は真っ直ぐと前を見ている
ったくそんなの俺たちもだろ?
俺だって葵に救われたんだ。
1人でカッコつけてんじゃねぇよ
俺は椅子を立ち
「俺たちにもできること…ないですか?」
拓海も柊も席を立つ
「葵殿のためなら俺だって命をかけれる」
そう言って九尾様も席を立つ。
「みんな…」
葵のお母さんの目からは涙が溢れていた
舜のお母さんのグスッと涙をすする声も聞こえてくる
「本当に…何と言っていいか」
葵のおじいちゃんの目もすこしウルっとしているように見える。
「葵を救う方法を一緒に探してください」
葵のお父さんがそう言って席を立つと、
舜の家族の方、拓海の家族の方もそこにいる全ての人が席を立った。