秘密の陰陽師 【肆】上
「葵は本当にそれでいいのかよ!」
お兄ちゃんはそう言うとガタッと席を立った
「俺は…アメリカに行くなんて認めねぇ…」
そう言うお兄ちゃんの目からは涙が流れていて。
もう我慢できなかった。
泣いちゃダメだと思っていたけど…やっぱり我慢できない
私の目からもポタッポタッと涙が溢れる
「葵、舜くん達には伝えたのか?」
ずっと黙っていたおじいちゃんにそう言われる。
「ううん、舜達には言わずにアメリカに行くことにしたの。すごくわがままなのは分かってる。でも…舜達の顔を見てしまうと行きたくない気持ちが出てきちゃう。
だから…会わない。」
私がこの約2週間ずっと悩んでいた事。
それは舜達にアメリカに行くとを伝えるか伝えないか。アメリカに行くことを決めたのは早かった。
でもそれを伝えるか伝えないか…ずっと悩んでいた。
初めは今までずっと一緒に戦ってきた舜達に言うべきと思ってた…でもやっぱり舜の拓海の、璃玖の、柊の顔を見てしまうと行きたくないというう気持ちが強くなると思った。
だから私は会わないことに決めた。
「葵はそれでいいんだな?」
おじいちゃんに真っ直ぐ見つめられる。
私は涙を拭い、
「はい」
はっきりと、そう伝えた。
「それともう一つお願いがあります。
これを────────────────────
」