秘密の陰陽師 【肆】上
朝の5時、目覚ましの音で目が覚める。
キャリーケースに必要最低限のものだけを入れ、リビングに降りるともう既に皆が机に座っていた
「おはよう、葵」
お母さんにそう言われて、いつもと変わらない朝を迎える。
「おはよ」
お父さんもおじいちゃんもお兄ちゃんも、いつもと変わらないように接してくれる。
でも私は気づいてる。
皆の目が赤くなってること。
おじいちゃんもお父さんもお母さんもお兄ちゃんも、私を思って涙を流してくれたんだよね。
「さぁ、朝ごはんできたよ」
そう言ってお母さんが持ってきてくれた朝ご
はんにら綺麗に焼かれたパンケーキにチョコレートのペンで
"頑張れ葵"
そう、書かれていた
「っ…ふっ…」
涙が溢れる。
すると、優しい温もりが私の体を包んだ。
「葵、何か辛いことがあったらすぐわしに連絡してくるんじゃぞ。すぐに助けてやるからな。」
涙声のおじいちゃんが抱きしめてくれた
「おじ…ちゃん…」
おじいちゃんにそんなことを言われたのは初めてだった。
"自分の身は自分で守れ"
小さい頃からおじいちゃんがちゃんに言われ続けていた言葉。
"助けてやる"
なんて言われたのは初めてだ。
「俺たちは何があっても葵の味方だ」
そう言ってお父さんも抱きしめてくれる
「おとう…さ…ん…」
「俺の可愛い妹をいじめる奴はゆるさねぇからな」
お兄ちゃんも抱きしめてくれる
「葵、風邪には気をつけなきゃだめよ?」
最後にお母さんも抱きしめてくれた。
私は幸せだ。
この家に産まれてきてよかった。
おじいちゃんの孫で、お父さんとお母さんの娘で、お兄ちゃんの妹で、本当によかった。
「私…頑張るよ」
顔を上げ、ニコッと笑った