秘密の陰陽師 【肆】上
覚悟を決め、先生の手を取ろうとした時、
「あおい!!!」
ずっと聞きたかった私の大好きな人の声が聞こえた
それと同時に堪えていた涙がまた流れ出した
「舜…」
「あおい!」「あおい」「あおいー!!」
私の名前を呼びながら校門の方からこちらに走って来る4人。
舜、拓海、璃玖、柊…どうして…
私と先生を見つけると凄い勢いで皆が走って来る。
ダメだよ…私は皆を傷つけちゃうよ…
どうしてここにいるのよ皆…
皆と私の距離がすぐそこに迫った時
「縛」
私の後ろでそんな声が聞こえた
それと同時に4人の動きが止まる。
縛術を使ったのは先生で。
「…っく…なにすんのや!」
動きを止められ拓海は先生を睨む。
「一ノ瀬、お別れは済んだんじゃなかったのか?」
私の肩を叩きながらそういう先生。
「ふざけんな!
俺たちは葵をアメリカなんかにいかせない」
舜はキッと先生を睨みながらそう言う。
「葵は渡さない」
そう言う璃玖の手には狐火が宿っていて。
「お前ら縛術かかってんのにどこからそんな力が出て来るんだよ」
やれやれといった表情を見せながら少しバカにしたように笑う先生。
「お前の好きに…させてたまるか」
柊から聞いたこともないような低い声でそう言った。
「はぁ…どうしようもない奴らだな。
一ノ瀬、きちんと言ってやれ」
そう言って先生にポンっと肩を押された
それと共に先生は皆にかかっていた縛術も解いてくれた。