秘密の陰陽師 【肆】上
「葵、俺たちなら大丈夫だから。
離れて行かないでくれ」
璃玖が私の肩を優しく掴んだ
その目からは涙が溢れていて、手もカタカタと震えている
涙を流すなんて、璃玖らしくないじゃない?
「璃玖は優しいんだから」
そう言って璃玖の涙を拭った
「そやで葵。
あんな野郎について行くことないで」
拓海が握ってくれる手は温かくて強い。まるでどうしても行かせないと言われているみたい
「拓海、笑って?そんな怖い顔をしているのはいつもの拓海じゃないわ」
そう言って優しく笑いかけると拓海の目からも涙が溢れ出す
「なぁ葵。俺たちに守らせてくれよ」
そう言う柊は真っ直ぐに私を見つめる。
「もう十分すぎるほど守ってもらったよ?
これ以上求めちゃうとバチがあたっちゃうよ」
柊の手を掴み、握りしめる
温かい…みんな温かい
どうしてあんなにひどいことした私を許してくれてるの?
皆の前から逃げた私をどうして守りたいって言ってくれるの?
突き放してよ、、
流れそうな涙をぐっと我慢した
「私はガーネットの力を操れるようになるために少しの間、アメリカで修行をしてくるの!一生の別れじゃないわ。帰ってきた時、また皆と並んで戦えるように頑張って修行してくるね」
ニコっと笑いそう告げた
すると
「もう話は済んだかな?
俺も時間がないんだよ。
さぁ、行こう一ノ瀬」
先生により、皆引き離された
「おい待て!」
璃玖が止めようとした時
「結」
先生により私たちに結界が張られた
あぁ…これでもう最後なんだな
ツーと涙が流れた
でも、最後に皆に会えてずっと抱えていたモヤモヤがなくなった
やっぱり会えて良かったって思う
だって…皆は私にとって一番大切な人たちだもん
「皆、ありがとう」
結界の外で必死に私に呼びかけてくれる皆を見る
皆、そんな顔しないで。
一生の別れじゃないんだからね。
「俺たちが必ずお前をっ!!」
舜の言葉を最後に
「ばいばい」
私はニコッと笑い、先生の手を取った。
秘密の陰陽師 【肆】 上 完結