秘密の陰陽師 【肆】上
「俺が捨てられたのは8歳の時だ。
自分で言うのもなんだが俺は金持ちの家に産まれた。
だけど俺が8歳の誕生日を迎えた日、親父が経営していた会社が突然倒産したんだ
そのせいで親父とお袋は毎日喧嘩が絶えなくてついには離婚したんだ
俺はお袋に引き取られた
優しいお袋だったからなにも不満はなかった
でもお袋は新しい男を作って俺を公園に置いてどこかに消えたんだよ
俺はずっと待ってた。
ずっとずっと迎えにきてくれるって信じてた
でも1週間経ってもお袋は戻ってこなかった
身体的にも精神的にも限界だった俺は近くに落ちていたガラスで命を絶とうとした
そんな時たまたま会議で人間界に来ていた璃玖様と出会ったんだ。
俺がどこの誰かも分からないのに手を差し伸べてくれて"俺の家に来ないか"って声をかけてくれたんだ。
そして俺はその日から第2妖界の忍として、今までずっと生活して来たんだ」
言い終わった柊の顔は少し寂しそうで。
でもどこか吹っ切れているような表情だった