秘密の陰陽師 【肆】上




「イケメン探すわよ〜っ」




腕まくりをして張り切る様子を見せる花




あはは…それ聞いたら井上君泣いちゃうよきっと




この事は秘密にしておかなくちゃね…(笑)




なんて思っていると突然、




「ねぇ葵!ちょっと来て!」




花に手を引っ張られてどこかに連れて行かれる




「ちょっ…花?ここって…?」





連れてこられた所は女子更衣室だった



花がニヤニヤと笑っている



これは絶対悪いこと企んでるよね…





「じゃーん!これ着て!」




そう言って花が袋から出して着たのは



「嘘でしょ…」



ピンクのシャツとリボンだった




私はいつも白シャツにネクタイだからこんなの着たことがないし無知の世界だ




「無理だよ…」



ぜっったいにあわないから!



もう断言できます私は似合いません花さん…



そんな私の思いは彼女に届くことはなく




「早く着るのよ!」




そう言って私の意見なんて耳も傾けてくれずに、あっという間にシャツもネクタイも脱がされる



「あんたの身体ってほんとなんていうか、いつ見ても羨ましい体してるわね」




服を脱がすなり身体をジロジロ眺められる



はは…恥ずかしい





それより




「ねえ私こんなの着れないよ…」




そりゃ花みたいに可愛くて愛想のいい子が着ていたらもうそりゃ天使並に可愛いけど、私みたいなブスが着たら皆に調子乗るなって思われるのがオチじゃない…





「あら、ならこのまま裸で交流会に行くしかないわねえ」





ニヤッと笑い、私が着ていたシャツとネクタイを持って出口に向かおうとする花




「えっ…ちょっ…花まって!」




もう!どうしてこうなるの!!





仕方がなく私はピンクのシャツを着てリボンを付けた






「キャーッ可愛すぎる!!」



どこかのおばさまのように興奮している花は携帯を取り出し、パシャパシャと写真を撮っている




恥ずかしすぎる






似合ってるはずないのに…




こんな姿で舜に会ったらきっとドン引きされちゃうよ



鼻でフッて嘲笑いされそう…






「さっ!教室に戻るわよ!」





そう言って花はさっさと更衣室を出て行ってしまった



ほんと自由な子なんだから!





私も慌てて花の後をついて行って教室に戻った




私達が教室に入った途端今までザワザワしていた教室がシーンと静かになった





男の子たちは皆顔を赤くしている。



私がピンクのシャツにリボンなんかつけてるから気分悪くなっちゃったのかな?



ほら言った通りじゃない!私みて気分わるくなるぐらいなんだよ…




皆に悪いことしちゃったな…





「ふふっ高田の反応が楽しみだわ」





花は横で黒い笑顔をこぼしている



どうしてここで舜の名前が出てくるんだろ?



「お前ら席につけー」




ガラガラとドアを開けて入ってきたのは担任のは多田先生




「また後でね」




そう言って花は自分の席に戻って行った




「皆、去年も体験してるから知ってると思うが今から新一年生との交流会がある。今から全員体育館に向かってくれー」




それだけ言うと多田先生は忙しそうにすぐ教室を後にした




「柊、行こう!」



そう言って柊の席に行くとなぜか柊が固まってしまった



「ふふっ可愛でしょ〜?」




いつの間にか私の隣にいる花がそう言う




「高城…舜に殺されても知らないからな」



なぜか顔を赤くしている柊がヤレヤレという表情でそう言う。



「あら〜なんのことかしら?さぁ行くよ〜」




花は鼻高くふふんっと笑って歩き出す




話ついていけてないのは私だけ?




そう思いながらも花と柊と一緒に体育館に向かった




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