秘密の陰陽師 【肆】上




「あーそんなに誘惑したらあかんで葵」




隣で拓海が眉を下げながらそう言った




誘惑?なんのだろう?





「いえ…っその…先輩が…可愛くて…」




相変わらず真っ赤な顔のままモジモジと話す男の子




私はポカンと口を開けて固まってしまった




少年君よ…ぶつかって悪いと思ったからって思ってもいないこと言っちゃダメだよ…




いくらなんでもそれが嘘だってことぐらい
私にも分かるよ…




そんな事を思っていると




「新入生だろ?早く行かなくていいのか?」




不機嫌な舜の声がした



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