側婚
紅野結。8才。
日曜日。
『結。見つけたかい?』
『何を?』
『一番好きな男の子だよ。
探すように父さん、言っただろ?』
『…言…ってたね……』
『あれから5年が経った…。
もう…見つけたんじゃないか?』
『見つけて…ない…』
『そうか……』
『うん……』
『結、今から公園に行こう』
『えっ……。宿題やらないと……』
『帰って来てやればいい。さあ、行こう』
『遊ぶなら別に家でも…』
『外じゃないとダメだ!!!』
『外じゃないとダメって…何をするの?』
『探すんだよ!!
一番好きな男の子を!!!』
『ええ?』
『お前は一人っ子なんだ!!! 将来、父さんと母さんが死んだら、お前は一人になるんだ!!! だから、お前は必ず結婚しないといけないんだ!!! そのためには一番好きな男の子を探さないといけないんだ!!!
って…言っただろ?』
『……言っ……てたね…』
『一緒に見つけよう!』
『…うん……』