側婚

「どうぞ、座って下さい」

私は福永さんをキッチンの前にある丸い白のテーブルと黄色とオレンジ色のイスまで案内すると、黄色のイスに座るように促す。

いつもなら私が黄色のイスに座っているのだが、オレンジ色のイスは座らせられないから。

『帆乃日、突然でごめんだけど…。
家にお客さんが来るから…。
今日…家に来ないでくれない?』

『お客さん…って誰?』

『お客さんは…お客さん…』

『男?』

『えっ?』

『もしかして…結婚相手見つけちゃった?』

『それは…』

『見つけたんだ!!!
どんな人!!!』

『とにかく!!
今日は家に来ないで!!
お願いだから!!!』

『分かった…』

『ありがとう…。
で……。帆乃日……』

『何?』

『お客さんを…オレンジ色のイスに座らせても…』

『ダメ』

『だよね……。
じゃあ…私が座っても…』

『ダメ』

『……嫌なのは分かるけど…』

『ダメ』

それから10分ぐらい話してどうにか、帆乃日からOKをもらう事ができ、今こうして私はオレンジ色のイス座れている。 

「二人で住んでるんですか?」

「えっ?」

家の中を見ていた福永さんが唐突に聞いてきた。
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