側婚
どうして…。

「違い…ますか?」

「いえ……。
どうして…分かるんですか?」

私…福永さんに二人暮らしって…言いましたっけ?

「部屋のドアに名前が…」

名前?

福永さんが指さした先にはドアにかけられた札があり、そこに【HONOKA】とアルファベットで書かれていた。

「一緒に住んでる方の名前ですよね?」

「そうです…」

そうだった…。

帆乃日の部屋のドアには名前の札がかけてあったんだった…。

当たり前になってて…忘れてた…。

「一緒に住んでどのくらいなんですか?」

「2年…経たないぐらいです。
高校を卒業した後に一緒に住み始めたので…」

「一緒に住んでる方は今、部屋に?」

「いえ。
今日、来る予定でしたけど、福永さんと話がしたかったので、今日は来ないように頼んだんです」

「来る…予定?」

「帆乃日…彼女はこの家から出ていくんです。
結婚するので」

「結婚……。
それはめでたい事ですね」

「はい。
すごくめでたい事で、私もすごく嬉しいんです。
でも……旦那さんが苦労するなって…」

「苦労ですか?」

「はい。帆乃日…彼女は、自分の物を使われるのが嫌な子で…」

『結!
私のシャンプー使ったでしょ?』

『………使ってない』

『使ったんだ…。
私のは使ったらダメって言ったでしょ!!!』


「…使うのがバレるとすごく怒るんです」
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