側婚
「福永さん…」

私は福永さんと目を合わせる。

「はい…」

福永さんは私と目を合わせ続ける。

「私に恋愛感情がないですよね?」

「はい。
紅野さんも私に恋愛感情がないですよね?」

「…分かってたんですか?」

「はい。
私は今まで一度も告白された事がないんですよ。
どうやら私は女性から恋愛対象には見られないみたいで…」

「そんな事ないですよ。
福永さん、すごく良い人ですから!!」

見た目も悪くないし!!!

「確かに“良い人”だってよく言われます。
でも…“良い人”ってだけみたいです」

そんな……。

「恋愛感情は持てませんでしたけど…。
私は恋愛対象に見てました!!」

会う男性は皆、恋愛対象に見るのが習慣なので!!!

「…ありがとうございます。
恋愛対象に見られたのは、紅野さんが初めてです」

あっ…笑った……。

「プロポーズされたのも、紅野さんが初めてです。
結婚しようと思ったのも、紅野さんが初めてです」
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