側婚
「…ありがとうございます。
嬉しいです…」

信用出来る人だなんて…。照れるな……。

「でも、私が紅野さんと結婚しようと思った一番の理由は……。
一生側に居てくれそうだなって思ったからです」

えっ……。

「私は…養護施設で育って、両親は居ないんです…。
だから、そのせいなのかは分かりませんが、恋愛感情を持てる人というよりは…一生私の側に居てくれそうな人を探していました」

「私もです…」

「…えっ？」

「私も、福永さんと結婚しようと思った一番の理由は…死ぬまで側に居てくれそうだな…と思ったからです」

「本当…ですか？」

「はい！！」

本当です！！！

「私は一人っ子なんですが、幼い時から両親に将来お父さんとお母さんが死んだら一人になるから、一番好きな男を早く見つけて、必ず結婚しないといけないと、ずっと言われてたんです。
だから、私も一番好きな男を探してました。
若いとか、年寄りだとか関係なく、恋人が居たり、結婚している人以外の男の人は皆、恋愛対象として見てました。だけど…居なくて…」

「私も居ませんでしたよ。
紅野さんみたいに探してはいませんが、今日まで生きてきて一番好きな女性は居ませんでした」

「福永さんも…恋愛感情を持った事が…」

「はい。
無いです」
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