側婚

「ハンカチ…ありがとうございます」

泣いていた私に福永さんが青いハンカチを貸してくれた。

「いえ…。
落ち着きましたか?」

「はい…。
もう…大丈夫です」

「紅野さん」

「はい…」

「本当は結婚しないで。
一緒に暮らしている方と死ぬまで一緒に生きるつもりだったんですよね?
でも、その方は相手を見つけてしまったから、誰かと結婚しようと思った…」

「その通りです。
この家の家賃や光熱費の事もありましたし…」

「一緒に住んでくれる人が必要だったと…」

「はい…。
でも、誰でも良かったわけじゃありません。
福永さんだから…」

「結婚しましょう」

「……えっ?」

「結婚しましょう」

「本当に…私で…良いんですか?」

もう一回考えてみてからでも…。

「私も誰でも良かったわけじゃありません。
紅野さんが…良いんです。

一生側に居て下さい」

「はい。
側に居ましょう」
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