紡ぎ会い、紡ぎ合う。
周りの友達は彼氏と会ったり旅行したり、気分のまま恋愛を楽しんでるというのにどうして私だけ独りでいるんだろう?
一人の夜、寂しさに胸が押しつぶされそうな時、彼から電話がきた。一ヶ月ぶりの声。
『やっと今月分の原稿オッケーもらえた! 疲れたー。ごめんな、全然連絡できなくて。今から会える?』
「ごめん。今日は友達と約束があって……」
『そっか。急だもんな。また連絡ちょうだい』
「できたらね」
本当は予定なんてなかった。なのに冷たくしてしまった。彼の都合に振り回されている気がして悔しくて、だから私もやり返してやろう、そう思った。
それは間違っていた。
私の言動がそっけないことに気付いた彼は、小説を書けなくなってしまった。夢を叶えてようやく一歩踏み出したという時に、私のせいで。
彼が不調になってからしばらくして、私は学校帰りに彼の担当編集者の男性に待ち伏せされ、大学近くの高そうなカフェに連れていかれた。何を言われるかだいたい分かったので行きたくなかったけど断れない雰囲気だった。
「好きな人の夢だと思って、寛大に受け止めてあげてくれないかな? 彼には未知の才能がある。こんなところでダメになってほしくないんだ」
「彼の夢と私のことは関係ないはずです」
反発心に満ちた答え。編集者の言いなりになんてなりたくなかった。