紡ぎ会い、紡ぎ合う。
「……どう言ったらいいんだろう」
四十代くらいの編集者は困ったように言った。
「我慢できなくなるのも分かるよ。つらいよね」
君は若い。それに魅力的だ。他にもたくさん、彼のような人が現れると思う。そうすれば今より楽になるかもしれないよ。編集者ははっきりそう告げた。
私達の恋愛に理解を示すフリをして、結局はそういうこと。私達を別れさせるためにこの場を設けたんだ。
曖昧にうなずき、私は先にカフェを出た。金欠の財布から自分の代金を出すのは色んな意味で心が痛かったけど、編集者に出されるより何倍もマシだった。
彼のことを想うだけで夜は更けていき、寂しさは募る。
編集者の言葉も嫌な頭痛を運んでくる。
何だか色々疲れてしまって、私は彼を呼び出し別れ話をした。別れても友達でいようと言って。
それなのに、私達は二度と友達になんて戻らなかった。戻れなかった。戻れるわけがなかった。
好きになり好きになられた後で友達に戻れるなんて、本当に未練がないかよほど無神経な精神構造をしている場合だけだ。私達はお互いを諦められなかったんだ。