風薫る
できるものならやり直したいのだけれど、いきなりの話題を変えたら不自然極まりないよね。
仕方ない。このまま続けよう……。
泣く泣く次の話題を探る。
もういっそのこと、思ったことを言ってしまうのがいいかもしれない。
変に考えて話すと、さっきみたいに間違ったときに余計に慌てる。
うん。そうだ、そうしよう。足掻くのは諦めよう。
ええと、思ったこと。
「私、冷え症だから、こういう寒い日って困るんだよね」
自分の話ばかりで申し訳ないのだけれど、何とか成功したらしい。
黒瀬君が柔らかく微笑む。
「俺は人間湯たんぽってこと?」
斬新なツッコミ。
湯たんぽって、湯たんぽって。
ふふふ、と笑いが込み上げる。
「湯たんぽっていうよりはカイロかなあ」
ちょうどいい大きさで、歩くときに困らない感じがホッカイロ。
黒瀬君が繋いだ手先を見遣って、そっか、と呟いて。
え。ええと。
「あの、黒瀬君」
私の呼びかけから逃げるように横を向いた黒瀬君が、きゅ、ともう一度手を握る。
「……俺、カイロなんでしょ」
目線を落とした黒瀬君が、耳元で囁いた。
仕方ない。このまま続けよう……。
泣く泣く次の話題を探る。
もういっそのこと、思ったことを言ってしまうのがいいかもしれない。
変に考えて話すと、さっきみたいに間違ったときに余計に慌てる。
うん。そうだ、そうしよう。足掻くのは諦めよう。
ええと、思ったこと。
「私、冷え症だから、こういう寒い日って困るんだよね」
自分の話ばかりで申し訳ないのだけれど、何とか成功したらしい。
黒瀬君が柔らかく微笑む。
「俺は人間湯たんぽってこと?」
斬新なツッコミ。
湯たんぽって、湯たんぽって。
ふふふ、と笑いが込み上げる。
「湯たんぽっていうよりはカイロかなあ」
ちょうどいい大きさで、歩くときに困らない感じがホッカイロ。
黒瀬君が繋いだ手先を見遣って、そっか、と呟いて。
え。ええと。
「あの、黒瀬君」
私の呼びかけから逃げるように横を向いた黒瀬君が、きゅ、ともう一度手を握る。
「……俺、カイロなんでしょ」
目線を落とした黒瀬君が、耳元で囁いた。