風薫る
「っ」


詰まった喉が鳴った。


顔が赤い。熱い。


繋いだ手を見る。照れる。


そっと軽く触れていた指先が、繋ぎ直された。


触れる熱に意識が集中してしまって、真っ白な頭で、手の感覚だけが研ぎ澄まされている。


さっきから私、赤くなってばかりだ。


「こっちの方がカイロとして高性能だと思わない?」


黒瀬君が少し早口で聞いた。


「お、思います」


固まりかけた首を強引に縮めて頷いて、なんとか続きを絞り出す。


「思うので、……もう少しだけいいですか」

「……うん」


意を決してやや強く握った手を、小さく肯定した黒瀬君が、きゅ、としっかり繋ぎ直した。


名残惜しい分かれ道まで、あと少し。
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