風薫る
ばたばたと足早に到着した勢いのままに、扉を引き開ける。
ガラリ、少しうるさくて硬質な音がした。
……も、申し訳ない。
でもそれで黒瀬君が気づいてくれたから、まあよし、ということにする。
「こんにちは黒瀬君、図書館ができたよ!」
満面の笑顔で言うと、黒瀬君が笑った。
「こんにちは木戸さん。俺も同じこと言おうとしてた」
いつも通り、私がたどり着くまでに、黒瀬君から一つあけた椅子を引いてくれる。
変わらない距離だった。
座って黒瀬君を見ると、嬉しさからなのか、楽しさからなのか、目が合っただけで何だか頬が緩んでしまって、二人で笑いあう。
「奇遇だね?」
「奇遇だねえ」
図書館というのは、新たに学校近くにできた、いろいろと備えた素敵施設のこと。
大きい図書館に、いくつかカフェとかちょっとしたサロンとかお店とかがついていて、家族みんなで楽しく過ごせるというのが売りらしい。
ほんの少し遠いのは本好きにとって何の障害にもならないので、両親が教えてくれたときから黒瀬君と話したかった。
広い駐車場もあり、かなり大きい建物の大部分を図書館が占めるので、蔵書が多いと聞いている。
帰り道を少し変更しなければいけないけれど、一緒に帰るついでに行こうよ、と誘うつもりだった。
ガラリ、少しうるさくて硬質な音がした。
……も、申し訳ない。
でもそれで黒瀬君が気づいてくれたから、まあよし、ということにする。
「こんにちは黒瀬君、図書館ができたよ!」
満面の笑顔で言うと、黒瀬君が笑った。
「こんにちは木戸さん。俺も同じこと言おうとしてた」
いつも通り、私がたどり着くまでに、黒瀬君から一つあけた椅子を引いてくれる。
変わらない距離だった。
座って黒瀬君を見ると、嬉しさからなのか、楽しさからなのか、目が合っただけで何だか頬が緩んでしまって、二人で笑いあう。
「奇遇だね?」
「奇遇だねえ」
図書館というのは、新たに学校近くにできた、いろいろと備えた素敵施設のこと。
大きい図書館に、いくつかカフェとかちょっとしたサロンとかお店とかがついていて、家族みんなで楽しく過ごせるというのが売りらしい。
ほんの少し遠いのは本好きにとって何の障害にもならないので、両親が教えてくれたときから黒瀬君と話したかった。
広い駐車場もあり、かなり大きい建物の大部分を図書館が占めるので、蔵書が多いと聞いている。
帰り道を少し変更しなければいけないけれど、一緒に帰るついでに行こうよ、と誘うつもりだった。