風薫る
まだ肌寒いけれど、既に春である四月の上旬。
今だに初々しさの残る高一の顔ぶれの中に美形を探す、大勢のクラスメイトたち。
クラスの大半が窓から登校してくる生徒たちを見つめ、奮闘している。
窓際の席の私は、彼らの隙間から外の景色をぼんやりと眺めていた。
窓の向こうからは、名前も知らない小鳥たちの賑やかなさえずり。
うっすらと雲の浮かぶ乳白色がかった青空。
まさに朝。
「おはよ、彩香(あやか)」
後ろからかけられた声に振り返る。
「おはよう、瑞穂(みずほ)。今日はいつもより来るの遅かったね」
瑞穂が私より後から来るのは珍しい。普段は十分ほど前に来ている。
照れたように頭をかいた瑞穂は、彼女の席である私の前の席に、こちらを向いて座った。
「今日は風が強くてさ。慎重に歩いて来たからね」
道理で髪が乱れているわけだ。
大きく伸びをした瑞穂のストレートのボブがさらさらと揺れる。
茶色のその髪を朝日がさらに明るく染めていた。
今だに初々しさの残る高一の顔ぶれの中に美形を探す、大勢のクラスメイトたち。
クラスの大半が窓から登校してくる生徒たちを見つめ、奮闘している。
窓際の席の私は、彼らの隙間から外の景色をぼんやりと眺めていた。
窓の向こうからは、名前も知らない小鳥たちの賑やかなさえずり。
うっすらと雲の浮かぶ乳白色がかった青空。
まさに朝。
「おはよ、彩香(あやか)」
後ろからかけられた声に振り返る。
「おはよう、瑞穂(みずほ)。今日はいつもより来るの遅かったね」
瑞穂が私より後から来るのは珍しい。普段は十分ほど前に来ている。
照れたように頭をかいた瑞穂は、彼女の席である私の前の席に、こちらを向いて座った。
「今日は風が強くてさ。慎重に歩いて来たからね」
道理で髪が乱れているわけだ。
大きく伸びをした瑞穂のストレートのボブがさらさらと揺れる。
茶色のその髪を朝日がさらに明るく染めていた。