風薫る
翌日、昼休み。
「昨日は結局どうなったの?」
一緒にお弁当を食べていた瑞穂に、開口一番聞かれたのはそれだった。
よほど気にかけてくれていたらしい。
ありがとう、でもごめん、まだ食べてるからちょっと待って。
もぐもぐ咀嚼しながら、机の中からもうすでに読み始めていた、借りたうちの一冊を取り出して見せる。
「え、借りられたの!?」
「う、うん……」
頷いて、箸でトマトを口に運んだ私とは正反対に、瑞穂は持ち上げていた唐揚げを落とした。
ぽとり、瑞穂の青いお弁当箱に再び納まった唐揚げに、こっそり息を吐く。
危ない危ない。
机の上に置いた本に落ちちゃったら、大きな油染みがつくところだったよ。落ちなくてよかった。
「どうやって取ったの、まさか手が届いたとか……?」
まさか、って失礼な。
まるで私の手が絶対に届かないことを前提にしているみたいな、懐疑的な言い種だ。ひどい。
ほぼ食べ終わっている瑞穂は箸を置いてしまって、もう聞く気満々に身を乗り出してくる。
私も仕方なく同じように箸を置いて、急いでトマトを飲み込んだ。
……ああ、トマト好きなのに。
「手は届いてないよ。助けてくれた人がいて」
「助けてくれた人って、あのよく来る人?」
興味深々な瑞穂に、そのよく来る人、が男の子だって言ったら驚くのかなあ、なんて思いながら頷いた。
「昨日は結局どうなったの?」
一緒にお弁当を食べていた瑞穂に、開口一番聞かれたのはそれだった。
よほど気にかけてくれていたらしい。
ありがとう、でもごめん、まだ食べてるからちょっと待って。
もぐもぐ咀嚼しながら、机の中からもうすでに読み始めていた、借りたうちの一冊を取り出して見せる。
「え、借りられたの!?」
「う、うん……」
頷いて、箸でトマトを口に運んだ私とは正反対に、瑞穂は持ち上げていた唐揚げを落とした。
ぽとり、瑞穂の青いお弁当箱に再び納まった唐揚げに、こっそり息を吐く。
危ない危ない。
机の上に置いた本に落ちちゃったら、大きな油染みがつくところだったよ。落ちなくてよかった。
「どうやって取ったの、まさか手が届いたとか……?」
まさか、って失礼な。
まるで私の手が絶対に届かないことを前提にしているみたいな、懐疑的な言い種だ。ひどい。
ほぼ食べ終わっている瑞穂は箸を置いてしまって、もう聞く気満々に身を乗り出してくる。
私も仕方なく同じように箸を置いて、急いでトマトを飲み込んだ。
……ああ、トマト好きなのに。
「手は届いてないよ。助けてくれた人がいて」
「助けてくれた人って、あのよく来る人?」
興味深々な瑞穂に、そのよく来る人、が男の子だって言ったら驚くのかなあ、なんて思いながら頷いた。