風薫る





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ハロウィーン【Halloween;Hallowee'n】

((万聖節前夜祭の意))


イギリスやアメリカの年中行事の一つ。十月三一日。


古代ケルト人に起源を持つ新年と冬を迎える祭りで、夜には死者の霊が家に帰ると言われる。


アメリカではカボチャの提灯(ちょうちん)を飾り、仮装した子供たちが町を練り歩いて家々からお菓子をもらう。
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「よかった、合ってたみたいで」

「なるほど。イギリスやアメリカのお盆だと考えればいいのかな」

「言い得て妙だね、それ」


やった、と木戸さんが得意そうに笑う。


話題が絶えない。話す予定はなかったけど、意気投合して、楽しくて。


このしっくりくる感じは何だろう。


さすがというか何というか、木戸さんだからなのか。


嫌な顔ひとつせずに会話してくれるのが嬉しかった。


飽きるだろうから、と普段なら遠慮する本の話題も、きっと木戸さんとならたくさんできるんだろう。


多分似てるんだ、


「私たち」


それは唐突で、口に出してしまったかと焦ったけど、違った。


感心したように木戸さんが呟く。


「似てるんだね」

「うん、似てるんだよ」


こんなに気が合うのが不思議な気がして、不思議ではない気もする。
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