風薫る
「誕生日とか」
と木戸さん。
「先祖関係とか」
と俺。
「あ、それからサンタさんとか」
思わず付け足したのだろう木戸さんに、俺も思わずつられて。
「知ってる? サンタさんなんていないんだって、木戸さん」
そうからかうと、木戸さんが笑って。
「知ってる? サンタさんはお父さんなんだって、黒瀬君」
俺も笑う。
ああ、やっぱりいいな、木戸さん。
木戸さんとお揃いだと考えると、懐かしい思い出がさらにきらめく。
それもいいかな、なんて思えるんだ。
「五時になります、閉めますよー」
話の途中で、司書さんの声が急に降ってきた。
閉館時刻を過ぎる前に急いで退室しないと。
二人ともすぐさま静かに椅子を引いて立ち上がる。
HRが終わったのが四時近くだったから、一時間くらい話していたことになる。
会話が弾むと時間の流れが速いなあ。
ふと、木戸さんが小さく呟いた。
「本」
そうだ、せっかく図書室に来たのに手ぶらだ。
「今からでも借りる?」
窺うと、不安そうに首を横に振った。
そうしたいのはやまやまなんだけれど、と言い添えて。
「多分今日は諦めた方がいいと思う」
どうかな、と目で確認されたので頷く。
明日また来られるから大丈夫。って、
と木戸さん。
「先祖関係とか」
と俺。
「あ、それからサンタさんとか」
思わず付け足したのだろう木戸さんに、俺も思わずつられて。
「知ってる? サンタさんなんていないんだって、木戸さん」
そうからかうと、木戸さんが笑って。
「知ってる? サンタさんはお父さんなんだって、黒瀬君」
俺も笑う。
ああ、やっぱりいいな、木戸さん。
木戸さんとお揃いだと考えると、懐かしい思い出がさらにきらめく。
それもいいかな、なんて思えるんだ。
「五時になります、閉めますよー」
話の途中で、司書さんの声が急に降ってきた。
閉館時刻を過ぎる前に急いで退室しないと。
二人ともすぐさま静かに椅子を引いて立ち上がる。
HRが終わったのが四時近くだったから、一時間くらい話していたことになる。
会話が弾むと時間の流れが速いなあ。
ふと、木戸さんが小さく呟いた。
「本」
そうだ、せっかく図書室に来たのに手ぶらだ。
「今からでも借りる?」
窺うと、不安そうに首を横に振った。
そうしたいのはやまやまなんだけれど、と言い添えて。
「多分今日は諦めた方がいいと思う」
どうかな、と目で確認されたので頷く。
明日また来られるから大丈夫。って、